佳奈美の初めて始めてゴルフ〈基礎〉「知らんがな、そんな事」第14話

第14話 第二ラウンド(中)

 

  結局、第一ホール(ミドル)は十一打。そのうちパターが四打だ。練習の時、一打でカップインしたのは夢だったのではないかと思った。

木下さんはバンカーで二度打って合計八打(五オン三パット)、加納さんがプレー四から打ってグリーンにオンして七打(四オン三パット)、松田さんが六打(三オン三パット)だった。

 

・プレー四 ティーショットがOBだった場合、設置してある特設ティーから四打目として打つ事が出来る。

 

(ウェーン、毎回十打もいってたら、十八ホール終わる頃には百八十超えちゃうじゃん…)

と心の中で嘆く私。

「三人共、三パットとはね~」

「留美は三オンしてるから勿体ないなあ」

「でもカップまで遠すぎたもん」

「あのロングパットが決まれば格好良いのに」

「朝の佳奈美ちゃんみたいにね」

(私、四パットだったんですけど~)

とまたまた心の中で返す私。

 第二ホール(ミドル)は九打だった。うちパターが三打。それでもさっきより減ったと少し安堵する。

 木下 六打(四オン二パッド)

 加納 六打(三オン三パット)

 松田 七打(四オン三パット)

・第三ホール(ロング)

佳奈美 十打(六オン四パット)

木下 七打(四オン三パッド)

加納 六打(四オン二パット)

松田 七打(四オン三パット)

「う~三連続三パッド…」

スコアを付けながら留美が独り言のように唸っていた。

(三パットで済めば全然良いじゃん…)

佳奈美にとってはパターが三回で済めば御の字、なんて感覚だ。

・第四ホール(ショート)

佳奈美 七打(四オン三パット)

木下 四打(二オン二パット)

加納 三打(一オン二パット)

松田 五打(三オン二パット)

「大輔、ナイスパー!」

「おう、ありがとよ」

みんな良いショットをしたときに声を掛け合っている。「ナイスショット!」「ナイスパー」「ナイスボギー」前回も木下さんと部長は言っていた。私も言うべきなのだろかと思いつつ一度も言えなかった。今日もまだ一度もそういう声は掛けてない。声に出して言うのが恥ずかしい、それに大して上手くもない私がそんな事を言うのも生意気な感じさえしてしまう。

(でも、言った方が良いのかな?そう言うのがマナーなのだろうか?でも…)

やっぱり恥ずかしい。

・第五ホール(ミドル)

佳奈美 十打(六オン四パット)

木下 六打(四オン二パット)

加納 五打(四オン一パット)

松田 五打(三オン二パット)

・第六ホール(ミドル)

佳奈美 七打(四オン三パット)

木下 五打(三オン二パット)

加納 五打(二オン三パット)

松田 五打(三オン二パット)

・第七ホール(ショート)

佳奈美 五打(三オン二パット)

木下 二打(一オン一パット)

加納 四打(二オン二パット)

松田 四打(二オン二パット)

「文雄、ナイスバーディー!」

「ナイスバーディー!」

「チョー嬉しいヤッタね!」

(ナ…ナイス…)

やっぱり声には出せない。

・第八ホール(ミドル)

佳奈美 八打(五オン三パット)

木下 五打(三オン二パット)

加納 六打(三オン三パット)

松田 五打(四オン一パット)

・第九ホール(ロング)

佳奈美 九打(六オン二パット)

木下 六打(四オン二パット)

加納 七打(四オン三パット)

松田 六打(三オン三パット)

 

・午前中ハーフトータル

佳奈美七十九 木下四十九 加納四十九 松田五十

「え~私、二人に負けてるじゃない!」

「たった一打じゃないか」

(私は三人の一,五倍なんですけど…)

「でもなんか悔しいなあ、今日は大輔の車だし、ビールでも飲んじゃうかな」

(へ、お酒飲むの?)

「お、やっぱりそう来たか!って、なんで俺が文雄の彼女の送り迎えしてんだ?」

(え…彼女?)

「だって、このゴルフ場だと留美の家はお前の通り道じゃないか。俺は、佳奈美ちゃんのお迎えがあるからな。大事な後輩だし」

(彼女…なのか…)

何でだろう、ちょっとがっかりしてる私がいる。

「でも留美は飲むと調子が上がるからなあ、結局終わったらまた留美が勝ってるんだよな」

「だって、私は二人より二年もキャリアが長いのよ。まだ負けられないわ」

「まあまあ、でも午後からもこの調子で頑張ればみんな揃って百切りも夢じゃないぞ」

三人の会話が佳奈美の頭の中を素通りした。

(彼女いたのか…)

私は勝手に木下さんに彼女なんていないと思っていた。別にいても構わない、私は木下さんを特別意識した事はない…筈だ。

「あら、どうしたの佳奈美ちゃん?元気ないわね。あ、佳奈美ちゃんも一緒に飲む?どうせ文雄が送ってくれるんだし」

「あ、いえ私は…」

「あ、もしかして飲めないの?」

「いえ、そうではありませんが」

「ああ、もしかしてスコア気にしてる?」

「あ、え、ええ」

glass of bear resting on table. Golf course, garden in background.

「気にしない気にしない!まだ二回目のラウンドなんだから!じゃ、一緒に飲もう!今日は友達だけのラウンドだし」

「え~女子だけで盛り上がるなよ」

「運転手は諦めなさい!」

そうして私と松田さんは二人で小ビールの生を一杯飲んだ。昼間からのビール、これも初めての経験だ。

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