佳奈美の初めて始めてゴルフ〈基礎〉「知らんがな、そんな事」第17話

第17話 第三ラウンド

当日は弘美さんが家まで迎えに来てくれた。

やはり車の運転の練習もしなくてはと改めて思う、これはやはり父にお願いしするしかない、全く気が進まないがこんな事頼める人間は他にいない。こういう時は、友達がいれば頼れるかもと少し思う。

 弘美の着ているウエアはすごく可愛くて、何だかプロっぽく見えた。

(格好良い…)

「何?どうかした?」

「あ、ウエア可愛いなと思って」

「そう?良かったぁ、私、格好から入るタイプなんで。昔ね、テニスしようと思った時もめっちゃ可愛いウエア買い揃えたんだよ!でも二回でやめちゃった!」

「二回?」

「うん、なんか性に合わなかったみたい。結構飽き性なのかな?すぐ投げ出しちゃう、でもゴルフは続いてるの、自分でも不思議」

「そうなんですか。でも私もそんな感じです、きっと続かないと思ってたのに、最近そういうサイトもよく見るようになったし、なんか我ながら不思議な感じ」

「分かるゥ!いつもの自分と違うって気付いてあれ?って思っちゃうよね?」

「そうなんです、私ってこんな事するんだ!って自分で思ったりしちゃいます。今までYouTubeなんて見た事も無かったのに、今はゴルフの動画とか見たり」

「あ~一緒一緒!ま、兎に角、今日は頑張ろうね」

「はい!」

(やっぱ私ももっと可愛いウエア買おうかな…)

ファッションなどについぞ興味のなかった私がこんな事を思ったりするのも、やっぱりちょっと不思議、なんて思った。

 平日にゴルフに来るのは初めてだ。いつもよりずっと空いている事に驚いた、安いからもっと混んでいるかと思ったが、やはり仕事している人は平日には無理って事なんだ。平日に行ける人って、空いてる上に安いって何かズルいなあなんて思ってしまった。

 ティグランドに行っても、前の組の姿はなく、すぐに打つ事が出来た。私は当然、弘美が先に打つものだと思い込んでいたがジャンケンだと言われた。

(え~~?上手い人からじゃないの?)

なんて思いながらジャンケンをする私。私はジャンケンがすこぶる弱い、殆ど勝った試しがない、と思ってたら案の定、負けてしまった。

「勿論、負けた人からだからね!」

(でしょうね…)

と思いながら苦笑いをする私、先に打つんだと思った瞬間からまた緊張してしまう。クラブを持って構えながら頭の中で色々考える

(えっと体重移動っと…)

と、思いながらクラブを振り下ろす。

カキーン

(え?)

今回は自分でも吃驚するくらい飛んだ。まあ、平均値以下ではあるが自分の中ではすごく良い当たり。百二十ydくらいだろうか。

「わーナイスショット!」

「ありがとうございます」

「私も負けてられないな」

そう言って打った弘美の球は当然のように私の球を遥かに超えた。

(やっぱりなあ…)

負けるのは分かっていたが私の中でほんの少し悔しいという思いも芽生えた。でも自分の球が真っすぐ飛んで百ydを超えた事は凄く嬉しい。なんとなく普通にゴルフが出来ているような錯覚を持ってしまう。

 そして午前中のハーフが終わった。二時間かからなかった、二人だと案外早く回れるんだと思った。待ち時間も全然なかったから、というのもあるかもしれないが、少しはモタモタ感も減ったかなと思う。そしてスコア六十八、なんと初の六十台。それだけで嬉しくなる。弘美さんは六十一だった。

「あ~あ、また六十台か~。これじゃまた百二十いっちゃいそうだなあ」

六十台で喜んでいる私と六十台でがっくり来てる弘美さん、これが経験値の差だろうか。私も六十台でがっかりする日が来るのだろうか、弘美さんは初めて一年半くらいだと言ってた。来年の今頃、私はどれくらいの成績で回れるようになっているだろう。

「お腹空いちゃったね、でもゴルフ場のメニューって結構ボリュームあるでしょう?」

「あ、はい」

「でも、何故かしっかりお腹に入るよね。それにどこも美味しいし」

「はい!」

確かに、まだ二コースしか回ってないが、どちらも美味しかった。

「お昼も楽しみの一つだしね」

「あ、分かります。何かハーフ終わる頃にはしっかりお腹空いてきてますし」

「だよね~」

「弘美さんはここのゴルフ場はよく来られるんですか?」

「三回目、ここ、平日一番安いの」

ここはランチ付きで五九八〇円。一日遊んで、お昼もついてて、広いお風呂にも入れて、どこかに遊びに行くより断然安いレジャーだと感じる。平日行ける人が増々羨ましくなる。

 そうして午後のラウンド。十一ホールでバンカーに入ってしまった。しかもグリーン横の結構顎の高めのバンカー。

(え~~~!)

今日は前みたいに教えてくれる人もいない、上手くいくかな、と思いながらバンカーに入っていく私。

(えっと、確かダフるイメージで砂ごともち上げるだったな…)

前のショットを思い出しながら思いっ切り打った。ボールは持ち上がったが突き出ていた顎に当たって、見事に戻ってきた。

(マジか…)

結局、前のようには出てくれず、四回打ってやっと外に出たかと思うとグリーンの遥か向こうに飛んで行った。

(え~~、嘘ォ~~~!)

とっくにグリーンに球を乗せてる弘美に申し訳ない気がする、私は大急ぎで走ってボールの位置に行く。

「大丈夫だよ、急がなくても。後ろも待ってないし」

「すみません!」

そう言ってくれても、人を待たせてるって分かってて、ゆっくりも出来ない。このホールはバンカーに入るまで四打で来ていたのに、結局上がってみたら十四打という成績だった。

(ビィエェェーーーン)

「気にしない、気にしない。よくある事だよ」

(え~、こんな事よくあったら、たまんないんですけどォ…)

「ありがとうございます…」

とはいえ、その後はそれ以上の酷い成績は出なかった。十一はあったが…。結果、後半ハーフは七十三、計百四十一、弘美は後半五十九で計百二十という結果だった。

「あ~、また百二十台、中々一長一短にはいかないね」

「ホントに」

「でも楽しかったね、女二人で回るっていうのも有りだね。気楽だし、また付き合ってくれる?」

「付き合うなんて、こちらこそ。私なんかで良かったら是非」

「良かったぁ!ゴルフ仲間が出来るってチョー嬉しい!」

「わ、私もです」

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