佳奈美の初めて始めてゴルフ〈初級〉「知らんがな、そんな事」第21話

第21話 ティの高さ

私は島村佳奈美、現在二十五歳。私は基本的に人と関わるのはあまり好きではなく、休みの日となると殆ど自宅の自分の部屋で、ネットサーフィンか本を読んで過ごすという完全インドア人間だった。

 それが三年前ゴルフを始めてからその生活環境が変化し始めた。成り行きでゴルフを始める事になった私は、完全とは言わないがインドアではなくなった。仕事の帰りに打ちっぱなしに行ったりする。また、会社にもそれ以外にもゴルフ仲間という友達が出来た。一緒にショッピングに行ったり、時には食事したりするようにもなった。

 ゴルフを始めた事で日常が変化するなんて思ってもみなかった。本来なら非日常な日が日常になったのだ。そしてそれは凄く楽しい。

 でもゴルフの腕前の方は日に日に上達しているかというと、そういうわけでもない。日進月歩とはよく言ったものだと思う。稀に良いスコアが出て、この調子で行けば!なんて思っていたら、次は最悪のスコアになったりとまるで安定しない。でもその度に次こそは、と思うからやめられない。まあ、今のところやめたいとは全然思っていないのだけれど。

 この三年でクラブ本数が増えた。サイトを見たり、ゴルフショップに行ったりして、これだともっと飛ぶんじゃないかと欲が出てしまうのだ。どんなにクラブの性能が良くても、腕が伴わないとダメな事も分かっていても、腕が上がらないからクラブに頼ってしまうのだ。とはいえ、しがないOLの身でそれほど高いクラブも買えないのであるが。中には目が飛び出そうなくらいの価格の物あるのだから。

佳奈美の現在の飛距離と持っているクラブ

・ドライバー 百五十~百八十yd

・スプーン(三番ウッド) 百三十~百五十yd

・バフィ(4番ウッド)百二十~百四十yd

・クリーク(五番ウッド) 百三十yd前後

・ショート (七番ウッド) 百十~百二十yd

・ユーティリティ 百二十yd前後

・五番アイアン 百二十yd前後

・七番アイアン 百yd前後

・八番アイアン 九十~百yd

・九番アイアン 八十yd前後

・PW 六十~七十yd

・SW 六十yd前後

・Aw 四十~五十yd

・PT

私のゴルフクラブは全部で十四本になった。十四本も入れる日があるのだろうかと思っていたが、いつの間にか十四本になっていた。でもこれを全部使っているかというと、ほぼ使っていないクラブがある。ドライバーの次に使うのはスプーン、サードショットは残りの距離にもよるがだいたい七番ウッド、アプローチショットは殆どPW、バンカーではAWである。バフィは全然使わなくなった、アイアンも使う事がかなり少なくなった。どうやら私はウッドが好きなようだ。そして持っているサンドよりアプローチウエッジの方がバンカーから出し易い。バンカーでミスをする事が多く、色々サイトを見てて見つけたクラブだ。バンカーから出し易いクラブとなっていて買ってしまった。でも使ってみたら、本当に私には合っていたのか、バンカーでのミスが格段に減った。だから今はバンカーで使うクラブはほぼこれ、ただこれを使うのは砂が深い所や、顎の高いバンカーだ、理由はボールが高く上がるからだ。その分、全然飛ばない。ユーティリティはほぼ使わなくなったのだが、フェアウエイにある、比較的フラットなバンカーではユーティリティを使う事がある。これは一度キャディさんと一緒に回った時、勧められて打ったら、上手く当たって飛んでくれた事が切っ掛けだ。

 五番アイアンは買った当初は気に入って、よく使っていたのだが七番ウッドを購入してからは専ら七番ウッドになった。五番ウッドは人に勧められて買った。女子は五番ウッドを使うのが一番スコアを上げる近道だという言葉に乗せられてしまった。でも実際使ってみたら、どうにも打ちにくい、ミスショットが多い。なので自然と使わなくなった。

 そして私の今のベストスコアは百十一。あともう少しで百台、とは思うものの、これも出せたのは一度きり、百十一を出した次のスコアはなんと百二十三.意気揚々と出かけたのに終わる頃にはすっかり意気消沈、でもまた次こそは、なんて思うのだが。

 

「やあ、今日も頑張ってる?」

「あ、中本さん」

中本さんと言うのは、練習場で知り合ったおっちゃん。何度か顔を合わせて話しかけてきた事が切っ掛けで二度ほど一緒にラウンドに行った事がある。

 ベストスコア六十八という腕前の持ち主。でも一緒に回っても、あれこれ言わず黙って見ててくれるのでとても楽だ。他にもここで知り合って一緒に回ったおじさんはいるのだが、クラブ振る度にいちいちアドバイスされる。親切のつもりなのだろうが、結構ウザったいなどと思ってしまった。

(そんなん出来たら、苦労せえへんわ)

と心の中で何度返していたか知れない。

 でも次のラウンドは久々に女子ばかりのラウンド、とても楽しみだ。でも相変わらず成績は私が一番下。メンバーは弘美さんと、会社の先輩の琴原詩織さんと、今は木下さんの奥さんになった留美さんだ。詩織さんは私と初めてゴルフに行って以来、ゴルフ再会。前回行った時は七十九を記録した。私も始めの頃と比べると自分でも雲泥の差だとは思うのだが、絶対追いつかないだろうなと思ってしまう。弘美さんは昨年、初百切りをして以来、順調にスコアを伸ばしている。留美さんも昨年百切をした。だからこの中で百を切っていないのは私だけ、百どころかまだ百十さえ切れていないのだから。

 今日はそのラウンドの為に練習に来た、何故か二、三回前からドライバーの調子が良くない。球が高く上に上がって全然飛んでないのだ。下手したら真上に上がって目の前に落ちてきたりしてしまう。自分では打ち方が変わったという意識は全くないから、原因不明だ。そう思って、最近ご無沙汰だった練習に来たが、ここではそういう風にならない。ちゃんと前に飛んでいる、どういう事だろう。

 

〇ドライバーの球が上がり過ぎる原因

・インパクトでフェースが開いている

・すくい打ち(過度のアッパーブロー)

 すくい打ちとは=ボールの下から上へ持ち上げるような軌道になっている

・上からの打ち込みすぎ(過度のダウンブロー)

中本さんが来たので、ちょっとそれを聞いてみたら打ち方を見てくれた。

「うーん、別に前と全然変わってないけど、最近何か変えたりしてない?」

「何か?うーん、特には…」

「そうか、何でだろうね」

「ここじゃ、普通に当たってるのになあ」

と私も首を捻る。家に帰ってもずっとその事を考えていた私はふっとある事に気付いた。

(ティ!かも…)

実は最近新しいティに変えた。別にティを変えるのはこれが初めてではない。でも何となくで選んでいて、高さとかそれほど気にしていなかった。今回はマグネット式のちょっとお値段の高いティを買ったのだ。意気揚々と使っていたのだが…。私はティの入っている小物バッグを取り出して、今まで使っていたティと新しく買ったティの長さを比べてみた。なんと新しいティが前に使用していたのより八㎜近く高かった。

(え…マジ?もしかしてこれが原因?)

そう思ってまたネットで調べてみたら、ティが高すぎて上に上がるという例が出ていた。

(え~じゃ、このティじゃ駄目なの?折角良いの買ったのに…)

確かにゴルフを始めた頃、ティの高さについても教わっていた。でも考えてみれば自分のクラブに合わせてだいたいこれくらいかなという感じでやってきた。

 ティの高さでこんなに変わるのだろうかと改めて思う。そう思いながら私はいつもと同じ高さのティを改めて購入した。

(あ~あ、このティ高かったのになあ…)

などと思いながらそのティをじっと見つめた。

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